共通科目情報処理(講義)、体育専門学群対象、2000年06月15日
電子・情報工学系
新城 靖
<yas@is.tsukuba.ac.jp>
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試験の予定
インターネットの危険性
インターネットでの通信は、暗号化されていない。 流れるデータを見れば簡単に内容を知ることができる。
サーバにためられた電子メールは、一般には自分でしか読むことができない。 ただし、サーバの管理者ならば、見ようと思えば見える状態になっている。
インターネットで通信する時には、通信相手に IP アドレスが渡されている。 (電子メールを送る時、WWWでページを見る時など)
電話でいうと、発信者番号(caller ID)が相手に伝わっている状態である。
IP アドレスから、コンピュータの名前(ドメイン名)を調べることができる (逆引)。
普通は、利用者の名前までは、わからない。しかし、、、
暗号が使われてきたグループの人々4つ
暗号とは、情報の意味が当事者以外にはわからないように情報を変
換することである。
図? 暗号の考え方
暗号化の方法が秘密になっていると、一見、より強そうにみえる。しかし、そ の暗号が、強いのか弱いのか調べる方法がない
暗号の安全性は、鍵の安全性によっている。 鍵の管理が非常に重要となる。
暗号化のプログラムを作成した人でも、鍵を知らなければ平文を得ることがで きない。
暗号の安全にとって、最近のコンピュータの高速化と低下価格下は、 1つの脅威となっている。
安いコンピュータをたくさん並べて計算させる(並列処理)。
鍵を長くするだけで、安全性が指数関数的に高くなる。
鍵を1ビット長くすると、解読時間が2倍になる。
図? 指数関数 図? 指数関数

パスワードは、コンピュータの中では、暗号化の鍵として使われる。 長いパスワードは、破られにくい。1文字(大文字小文字数字記号)増やすと、 総当たりで解読に要する時間が、50倍から100倍近くかかるようになる。
暗号の方法は、大きく2つに分類される
Caesar暗号は、知れている最後の暗号である。 平文アルファベットをN文字ずらした暗号文アルファベットに変える。
N=2 の時の対応表
abcdefghijklmnopqrstuvwxyz CDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZAB暗号の説明では、平文を小文字で、暗号文を大文字で書く習慣がある。 カルタゴ人以来騙された人はいない。
N=13 で、大文字小文字を保存する方法を、rot13 暗号という。rot13 は、電 子メールやネットワーク・ニュースで「ネタばらし」の部分を書く時に使われ る。
数の集合から、無作為抽出で抜き出された数。
真性乱数。ビット列にすると、0と1の発生確率がそれぞれ1/2で、各ビッ トは他の部分と独立なiid(independent and identically distributed) である。
物理乱数。量子力学の効果を増幅してディジタル化したもの。 平滑化して0,1のバランスをとれば、真性乱数になる。
疑似乱数(pseudo random number)。種(seed)と呼ばれる入力ビットパタンを基 に計算された、種よりも長いランダムに見えるビット・パタン。種が決まれば 出力乱数は一意に決まる。
例:
乱数表: 0 18 19 22 22 7 9 4 14 3
平文: h e l l o w o r l d
8 5 12 12 15 23 15 18 12 4
暗号文: H W E H K D X V Z G
: 8 23 5 8 11 4 24 22 26 7
乱数表そのものや、大きな乱数表の中でどこから使い始めるかを鍵にすること
ができる。
真性乱数を使うと、解読する方法はない。しかし、使うのが大変。送信側と受 信側で同じ真性乱数を作るのが大変。
乱数表を記憶する変わりに、疑似乱数を使う方法がある。使う疑似乱数の性質 が悪いと解読される。
実際には、文字をずらすのではなく、足し算、引き算や、排他的論理和と呼ば れる計算が使われることが多い。
公開鍵暗号系(非対称暗号系)では2つの異なる鍵を用いる。 便宜上、この2つを公開鍵と秘密鍵と呼ぶ。
これらの鍵は、互いに相手の逆関数になっている。

図? 公開鍵暗号を使った暗号通信の手順
ここで、公開鍵から秘密鍵を計算することは難しい。ある平文を公開鍵で暗号 化してみたところで、秘密鍵を得ることは難しい。
公開鍵暗号の利点は、鍵を管理する手間が掛らないこと。
認証とは、情報の正当性や完全性を確保する技術である。
ディジタル署名では、次のようなシステムが必要である。
公開鍵暗号系を使ってディジタル署名を行うことができる。
図? 公開鍵暗号を使ったディジタル署名の手順
メッセージ全体を暗号化する代わりに、メッセージを平文で送り、それにメッ セージを一方向関数(ハッシュ関数)と呼ばれる方法で計算した結果だけを、 秘密鍵で暗号化したものを送る方法もある。一方向関数では、計算結果から元 の値(メッセージ)を計算することが難しい。
ディジタル署名や利用者認証は、公開鍵暗号系ではなく、共通鍵暗号系を用い ても可能である。ただし、この場合、鍵を管理する信用できる管理センターが 必要となる。
単なる暗証番号の場合、通信を傍受されたら終り。