5.3 電子メールの使い方(mnews)

情報処理実習用手引き(システム解説編)
第5章 インターネットの利用
5.3 電子メールの使い方(mnews)
                                       電子・情報工学系
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

このページは、次の URL にあります。
http://www.hlla.is.tsukuba.ac.jp/~yas/ipe/tebiki-1997/5-inet/3-mail.html
http://www.ipe.tsukuba.ac.jp/~yshinjo/tebiki-1997/5-inet/3-mail.html
あるいは、次のページから手繰っていくこともできます。
http://www.ipe.tsukuba.ac.jp/~yshinjo/
http://www.hlla.is.tsukuba.ac.jp/~yas/ipe/
http://www.hlla.is.tsukuba.ac.jp/~yas/index-j.html
http://www.ipe.tsukuba.ac.jp/

■電子メールとは

電子メール(e-mail, electric mail)は、電話や(普通の)手紙と同じよう に、個人と個人の間で情報を交換するための仕組みである。電話と比べて電子 メールの特徴は、相手がその時なにをしていても、メッセージを送ることがで きるところにある。メッセージを受けとった人は、自分が好きな時に電子メー ルを読むことができる。普通の手紙と比べると、電子メールの魅力は、非常に 早いことにある。アメリカまで数秒で届くこともある。電子メールに浸った人 の間では、普通の手紙のことを、カタツムリ・メール(snail mail)と呼んで いる。

電子メールは、普通の手紙と同じように、次のような基本的な操作がある。

  1. 読む
  2. 書く
  3. 返事を出す
  4. 受け取ったメールを整理する
  5. 環境を整える

この節では、mnews を使って電子メールを読み書きする方法を説明する。また、 電子メールを書く時に必要なテキスト・エディタ mule 使い方も簡単に説明す る。muleについては、5.5節で詳しく説明する。

◆電子メールの形式

電子メールというのは、次のような形式を持っているテキストである。テキス トとは、文字データだけからなるデータである。

------------------------------------------------------------
From: Yasushi Shinjo 
To: s976543@ipe.tsukuba.ac.jp
cc: s976565@ipe.tsukuba.ac.jp
Subject: Mnews is nice for e-mail
Date: Sat, 22 Mar 1997 23:16:30 JST
Message-Id: <199703221416.XAA04621@poplar.is.tsukuba.ac.jp>

こんにちは。新城です。

ネットワーク・ニュースだけでなく、電子メールを読み書きするに
も、mnews は便利ですね。

それでは、また。

\\ 新城 靖 (しんじょう やすし) \\
\\ 筑波大学 電子・情報       \\
------------------------------------------------------------

電子メールのテキスト、大きくヘッダ(header,頭)と本文(body)に分かれ る。ヘッダは、電子メールの先頭から最初の空行まで、本文は、空行以降の部 分である。本文には、普通の文章が書かれている。ヘッダには、次のような情 報が含まれる。

  1. From: には、その電子メールを書いた人(差出人)の電子メールのアドレスが 書かれている。
  2. To: には、その電子メールを受取人の電子メールのアドレス(宛先)が書かれ ている。
  3. cc: にも、その電子メールを受取人の電子メールのアドレスが書かれている。 To: には本来の宛先を書き、cc: にはついでに連絡したい宛先を書くために使 う。電子メールを送る時に、cc: に自分の電子メール・アドレスを書けば、自 分が送った電子メールを保存することができる。
  4. Subject: (サブジェクト)とは、電子メールの題名(題目、表題)である。 大量の電子メールを受け取るようになると、題名は、電子メールを分類するた めの重要なキーワードとなる。
  5. Date: は、電子メールが書かれた日付を表わしている。この例では、日本時間 (JST)で、1997年3月(Mar, Marchの短縮形)22日土曜日(Sat, Saturday)に書 かれたことがわかる。
  6. Message-Id: には、その電子メールに対して世界中で重複がないように付けら れた名前が書かれる。これを、メッセージ識別子(メッセージID、 Message-ID, Message identifier)という。IDというのは、身分証などの意 味のIDカードのIDと同じ意味である。

電子メールの本文は、普通のテキストである。電子メールの本文をワープロな どで打ち込む人もいる。ワープロの文書と違う所は、1行の長さがだいたい3 0文字〜35文字になるように、折り返している( を打つ)ことである。こ れは、「引用」という機能を利用する時に便利である。電子メールで引用とは、 他の人の書いた電子メールの一部を自分の電子メールに含めることである。

本文の末尾には、署名(signature, シグニチャ)が現われることが多い。署 名とは、普通の手紙の末尾に署名をするのと同じように、末尾に自分の名前を 書くものである。

◆電子メール・アドレスの形式

電子メールのアドレスは、次のような形式をしている。

ログイン名@ドメイン形式のホスト名

@」より前の部分は、個人を特定するための情報である。普 通は、ログイン名(ユーザ名)が書かれる。「@」より後ろの 部分は、どのコンピュータに届ければいいかを示しているものである。これに は、ドメイン形式のホスト名が使われる。ホストとは、ネットワークに接続さ れているコンピュータという意味である。ホスト名は、コンピュータの名前で ある。このホスト名の部分は、木構造で表現されている。木構造について詳し くは、5.2 節で説明した。インターネットのホスト名では、右から左に解釈す る。たとえば、「ipe.tsukuba.ac.jp」では、木の根から見た 時、jp,ac,tsukuba,ipe のように枝を探していくことを意 味している。これは、ニュース・グループの名前で使っている木構造とは解釈 の順番が逆である。

筑波大学教育用計算機システムにおける、各自の電子メール・アドレスは、次 のようになっている。

s学籍番号@ipe.tsukuba.ac.jp

s学籍番号」は、ログイン名であり、ログインの時 に「login: 」に対して打込むものである。パスワードではな い。このアドレスは、インターネット全体のホスト名の木構造の中で、図 5.3.1 に示すような位置に位置付けられている。根の直下は、ISO (国際標準 化機構, International Standardization Organization ) が定めた2文字に よる国別コード(country code)である。ただし、歴史的な理由により、アメリ カを中心として .com,.edu,.gov,.net,.org,.mil などが 現在でも使われている。日本の国別コードは、jp である。 jp の下には、次のような枝(領域、ドメイン)がある。

ac
大学関係
ad
ネットワーク管理
co
企業
go
政府機関、国立の施設
ne
インターネット接続サービス・プロバイダ
or
その他の団体(一部のインターネット接続サービス・プロバイダ)
都道府県の名前
地方自治体、個人。

筑波大学は、ac の下にくる。tsukuba.ac.jp の下には、学内の組織を表わすな枝(領域、ドメイン)がある。 ipe は、共通科目情報処理のためのものである。

図5.3.1 インターネットのホスト名の名前付けで使われている木構造

図5.3.1 インターネットのホスト名の名前 付けで使われている木構造

★練習問題

なんらかの方法で電子メールのアドレスを探しなさい。それを木構造として解 釈しなさい。

◆2つのメール・ボックス

電子メールは、「メール・ボックス」と呼ばれている保管場所(ファイル)に 保管されている。メールボックスには、次の2種類がある。

・配送プログラム用メール・ボックス
電子メールを転送するプログラムが、個人ごとに分類して保管しておく場所。 郵便局の私書箱(P.O.Box)のようなもの。
・個人用メール・ボックス
電子メールを読み書きするプログラム(mnewsなど)が、保管しておく場所。 個人の状差しのようなもの。

新しく届いたメールを読む時には、配送プログラム用メール・ボックスから個 人用メール・ボックスへメールを移す必要がある。この作業を、 「取り込む」という。

mnews では、個人用メール・ボックスを複数設けて使い分ける機能がある。こ の性質を生かすために、標準では、自動的に取り込むことをしない。すなわち、 新しく届いた電子メールを配送プログラム用メール・ボックスから個人用メー ル・ボックスへ移すことを自動的にはしない。よって mnews を使う人が意識 的に取り込む操作をしなければならない。(mnews の設定を変更し、 auto_inc_mode を使えば、取り込みを自動化することもできる。)

■mnewsの実行

mnews は、正面のパソコン(FMV,Macintosh)ではなく、裏で動いているサーバ・ コンピュータ(Sun,icho)で動くプログラムである。mnews を実行するには、ま ずパソコンでなんらかの通信プログラム(Telnet, または X Window)を実行 し、Sun にログインする。このとき、ログイン名(ユーザ名)とパスワードが 聞かれるので、それに答える。そして、サーバで「% 」が表示されている画面 にする。

%

この「% 」は、シェルというプログラムが、人間からのコマンド(command命 令)を待っていることを表わしている。「学生支援メニュー」が表示されてい たら、「コマンドモード」を選択する。

mnews を実行するには、次のように打つ。(最初の「%」は、打たなくてもよ い。)

%

◆ 最初の画面

mnews を実行すると、次のような画面が表示される。

図5.3.2  mnews の実行直後の画面(実際の画面とは、若干異なる)

図5.3.2 mnews の実行直後の画面(実際の 画面とは、若干異なる)

mnews では、次の3つの方法で電子メールを読むことができる。

  1. MAIL(UCB-mail)。 UNIXシステムに標準のメールを読み書きするプログラムと互 換性がある。「学生支援メニュー」にある「電子ルール」項目でも、UNIXシス テムに標準のメールを読み書きするプログラムを使っているので、そこで読ん だメールも mnews から読める。逆も可能。
  2. MH。 強力な検索機能と分類機能が使える。大量のメールをさばく人向き。
  3. RMAIL。 テキストエディタ mule (emacs) を実行しその内部で使える rmail と 呼ばれている電子メールを読み書きするプログラムと互換性がある。
以下では、MAIL (UCB-mail) を使う方法について説明する。

■メールを読む

mnews で電子メールを読むには、mnews を実行して MAIL を選択す る。すなわち、図5.3.2の画面で、j,k,^P,^N,↓,↑等のキーを使い でカーソルを「MAIL」の左まで移動させて、そこで、iキー (inの意味), またはSPACEキーを押す。すると、次のような画面にな る。

図5.3.3 mnewsのMAILの画面(UCBメール)

図5.3.3 mnewsのMAILの画面(UCBメール)

この画面を、(UCB-mailの)「メールボックス表示画面」と呼ぶ ことにする。この画面の操作方法は、ネットワーク・ニュースを読む時の ニュース記事選択モードとよく似ている。

この画面で、「メールボックス」の所に表示されているのが、 現在表示している個人用メール・ボックスのファイル名である。この例では、 5通のメールが保存されている。1行が電子メール1通に対応する。既に読ん だメールには、「R」というマークが付けられている。そして、 電子メールが出された日付、差出人の電子メール・アドレスの一部と題目 (Subject:)が表示されている。

ここで表示されている電子メールを読むには、ネットワーク・ニュースの記事 と同じように、j,k,^P,^N,↓,↑ 等のキーを使いでカーソルを動か して選び、iキー(inの意味), またはSPACEキーで選ぶ。

ここで注意することは、たとえ新しい電子メールが「配送プログラム用メール・ ボックス」に届いていたとしても、そのままでは読むことがでできないことで ある。電子メールを読むためには、「配送プログラム用メール・ ボックス」から、「個人用メール・ボックス」に移動させる(取り込む)必要 がある。それには、I (大文字のi)キーを打つ。mnewsを実行し、こ の画面を始めて表示させた時には、忘れずに I キーを打つようにす る。

◆ ページャー・モード

図5.3.4の画面は、「メールボックス表示画面」で、読みたい電子メールにカー ソルを合わせて iキー(inの意味), またはSPACEキーを押 した結果である。これは、「ページャー・モード」の画面であ る。これは、1つ1つの電子メールを、1ページ1ページめくるように読むた めの画面である。ここで1ページとは、画面にちょうど入り切る分量という意 味である。短い電子メールの場合、全体が表示される。長い電子メールの場合、 1画面分(1ページ分)表示した所で止る。

「ページャー・モード」では、電子メールを表示するために画面の面積を割い ているため、簡単な説明が表示されない。ページャ・モードで最もよく使うキー は、SPACEキーである。SPACEキーを押すと、次のページに進む。1ページ戻る には、bキーを押す。もとの「メールボックス」を表示している画面にもどる には、oキー、または qキーを押す。

図5.3.4 mnewsのページャの画面

図5.3.4 mnewsのページャの画面

表5.3.1 ページャー・モードでよく使うキー

----------------------------------------------------------------------
キー            動き            |       キー            動き
----------------------------------------------------------------------
SPACE           1ページ進める  |       b               1ページ戻す
j               1行進める      |       k               1行戻す
q               ページャの終了  |       ?               ヘルプの表示
n               次の未読記事へ  |       p               前の記事へ
r,R             メールで返事    |       
----------------------------------------------------------------------

■電子メールを送る

mnews では、電子メールを送る方法に、次の3種類がある。

  1. まったく新しいメールを出す。
  2. 受け取ったメールに返事を出す。
  3. ネットワーク・ニュースの記事の差出人に電子メールで返事を出す。
この節では、1 と 2 について説明する。3 は、2 とほとんど同じ方法で行う ことができる。電子メールを使っていると、同じ相手と何度かやりとりするこ とになる。従って 2 の方法で使うことが多くなる。

ここでは、まず新たにメールを出す方法について説明する。この中で、テキス ト・エディタ mule の簡単な使い方を説明する。続いて、受け取ったメールに 返事を出す方法を説明する。

■新たにメールを出す

mnews で新たにメールを出すには、大まかに見ると次の3段階の手順を踏む。

  1. mnews からの問い合わせに従って、ヘッダに埋め込むべき 情報(To:,cc:,Subject:)を打ち込む。
  2. テキスト・エディタ(mule)で本文を書く。
  3. mnewsに戻って、内容を確認し、送信する。
以下、この順に操作方法を説明する。

◆宛先、コピー宛先、題目の打ち込み

mnews で新たにメールを出すには、mキーを使う。mキーは、 「メールボックス表示画面」や、ネットワーク・ニュースの 「ニュースカテゴリ/グループ選択モード」、 「ニュース記事選択モード」でも使える。これらのいずれかの 画面で mキーを押すと、次のように電子メールを本当に送りたいか どうかを尋ねてくる。

図5.3.5 新たに電子メールを出す

図5.3.5 新たに電子メールを出す

これには、y と打つ。すると、次の画面に示すように、mnews は電 子メールの宛先(To:)を尋ねてくる。

図5.3.6 宛先を打ち込む

図5.3.6 宛先を打ち込む

これに対して、電子メール・アドレスを打ち込み、最後にリターンを打つ。

次に mnews は、コピー宛先(cc:, カーボンコ ピー,ついでに送る宛先)を尋ねてくる。

図3.5.7 コピー宛先を確認する

図3.5.7 コピー宛先を確認する

図3.5.7 のように、コピー宛先として、自分の電子メール・アドレスが最初 から埋め込まれているはずである。これは、自分がどんな電子メール送ったの かという控えを取るために便利な機能である。控えが必要ならば、リターンを 打つ。控えが不要ならば、^U を打ち、コピー宛先の欄を空欄にして から、リターンを打つ。

コピー宛先に続いて、mnews は題名(Subject:)を問い合わせてくる。

図3.5.8  題名を打ち込む

図3.5.8 題名を打ち込む

これに対して、英語ローマ字で題名を打ち込み、 リターンを打つ。漢字で題名を打ちたい場合には、後でテキスト・エディタが 実行された時に修正する。

題名を打ち終わると、次に電子メールの本文を打ち込むことになる。この時、 mnews は、テキスト・エディタを実行する。テキスト・エディタは、簡単な文 書を作るためのプログラムである。mnews は、標準ではテキスト・エディタと して mule を実行する。mule が実行している間、mnews は、一時的に止まっ ている。mule を終了すると、再び mnews の実行が再開される。

◆エディタmuleで本文を書く

次の図は、mnews で電子メールを出す時に、ヘッダの部分の打込みが終わって 本文を書くためにテキスト・エディタ mule が実行された様子を示す。

図5.3.9  mnewsから起動されたエディタmuleの画面

図5.3.9 mnewsから起動されたエディタmuleの画面

エディタ mule では、普通の文字(アルファベット、記号、漢字)を打込むと、 そのままカーソルのある位置に挿入される。また、矢印キー (カーソルキー、4つ並んでいる←,→,↑,↓)で、カーソルの位置 を変えることができる。

mule では、普通、電子メールの本文を書く。ヘッダの部分を修正してもよい。 本文を書くには、矢印キー()を使ってカーソルを 「--text follows this line--」の次の行まで移動る。この行 より上には、リターン・キーを打たないように気をつける。

電子メールの本文を書き終えたら、作成した文書を「保存」して、エディタを 「終了」させます。保存するには、次のように打つ。

^X^S

ここで、^Xは、コントロール・キー(control, ctrl, キーボードの 左下)を押しながら、xキーを1度押すという意味である。^Sは、同 様に、コントロール・キーを押しながら、sキーを一度押す。^X^Sと 押すには、左の小指でまずコントロール・キーを押し続けながら、x キーを一度押して離し、sキーを押して離し、コントロール・キーを 離すとよい。

図5.3.10  mule で電子メールの本文を書く

図5.3.10 mule で電子メールの本文を書く

^X^S」を、mule では、次のように表記する。

C-x C-s
以後、mule の説明では、mule の表記方法に従う。

mule を終了させるためには、次のように打つ。

C-x C-c
mule でよく使うキーを表5.3.2にまとめる。

表5.3.2 mule でよく使うキー

------------------------------------------------------------
C-x C-s	保存
C-x C-c	終了
Delete	左の文字の削除
C-k	カーソルから左の行末まで削除
	(行末の場合は、改行の削除)
ESC q	行の折り返し
C-g	何か困った時には、何度か打つ。
------------------------------------------------------------

◆mnews に戻り、確認して送信する

mule を終了すると、一時的に止まっていた mnews が再び動き出す。そして次 のように、今書いたばかりの電子メールを表示する。

図5.3.11 電子メールを送る前に、ページャ・モードで最後の内容の確認を行う

図5.3.11 電子メールを送る前に、ページャ・ モードで最後の内容の確認を行う

図5.3.11の画面は、ページャ・モードの一種である。長いメー ルの場合、SPACEキーで次のページに進む。ここで、今書いたメール の内容の「最終確認(confirm)」を行う。確認を終了するには、 q キーを押すか、「(END)」が表示されるまで見て SPACEを押す。

確認のためのページャ・モードを終了すると、mnews は、次の様に送信の許可 を求めてくる。

図5.3.12  送信の許可

図5.3.12 送信の許可

内容確認の結果、よければ、y を押す。これで電子メールが送信さ れる。なにか書き足りないことがあれば、e キーを押すことで、も う一度エディタに戻って、修正することができる。n キーを押すと、 この電子メールは、送らずに捨てられる。

◆電子メールの形式と内容、使ってよい文 字

電子メールといっても、世の中の常識はそのまま通じる。初めての相手に電子 メールを出す時や、目上の人に出すときには、普通の紙の手紙と同じように気 を付けるべきである。普通の手紙と少し違うことは、しばしば季節の挨拶が省 略され、すぐに本題に入ることが多いことである。

電子メールでは、受け取ってから比較的短い期間の間に返事を出すことが重要 である。返事がないと、読んだのか読まなかったのが分からない。ネットワー クのトラブルで本当に電子メールが無くなってしまうことや、相手が誤って電 子メールを消してしまうこともある。返事がない時には、送った人は、電子メー ルが相手にうまく届かなかったと思ってしまう。内容に関してすぐに返事がで きない時には、「受け取りました」ということだけでもすぐに返事を出した方 がよい。

電子メールでは、1行が漢字で30文字から35文字(英数字の場合は、60文 字〜70文字)で折り返す習慣がある。この習慣は、「引用」をやりやすくする ために生まれた。電子メールで引用とは、返事を出す時に相手が書いた電子メー ルの一部を自分の電子メールに含めることである。相手が書いた部分には、引 用記号が付けらる。引用記号としては、「> 」、「>> 」や「|」がよく使わ れる。

行を折り返すには、適当な所で、手でリターン・キーを打つ。その他に、mule の自動折り返し機能を使う方法もある。 これを使うには、次のようにキーを 打つ。

ESC q

ESC は、esc と書かれたキーを押すことを意味する。 E,S,C というキーを押すことでない。ESCキーは、キーボー ドの左上にある。ESC は、Escape (エスケープ) と 読む。ESCキーに続いて、qキーを押す。これにより、 空 行で区切られた範囲を段落(パラグラフ)とみなして、カーソルがある段落に ついて、1行が漢字で35文字になるように、折り返してくれる。

折り返す時の1行の文字数を変えることもできる。たとえば、漢字で30文字 (英数字の場合は、60文字)にしたい時には、次のように打つ。

C-u 60 C-x f

その他に、折り返したい位置にカーソルを移動させい、C-x fと打つ 方法もある。

mule の自動折り返しの機能を使うには、次の点に注意して電子メールを書く とよい。

電子メールの末尾には、「署名(signature)」といって、漢字 の名前や所属などを書く習慣がある。アルファベットの名前や電子メール・ア ドレスは、From: に自動的に埋め込まれる。しかし、漢字をそのまま From: に埋め込むと、電子メールを転送するプログラムがうまく扱えないこともある。 よって本文には、漢字の名前を意識的に含める習慣がある。漢字の名前を含め る方法としては、署名に付ける方法の他に、本文の先頭に「名乗る」という方 法もしばしば行われている。

電子メールやネットワーク・ニュースでは、使える文字の種類が決められてい る。使える文字は、次のようなものである。

次のような文字は、使ってはならない。

これらは、日本語をどのようにしてコンピュータで扱うかに関係している。

★練習問題

mnews の mキーの機能を使って、自分あてに電子メールを送りなさい。

★練習問題

mnews の mキーの機能を使って、隣に座っている人に電子メールを送りなさい。

★練習問題

mnews の「MAIL」を選び、「メールボックス表示画面」で I (大文字のi) を打ち、自分で自分宛に書いたメールや隣に座って いる人から届いたメールを取り込みなさい。そして、それを画面に表示させな さい。

■返事を出す

電子メールによる通信では、新たに電子メールを出すことよりも、受け取った メールに対して返事を出すということが圧倒的に多くなる。電子メールを読み 書きするプログラムでは、返事を出すことを簡単に行えるように設計されてい る。この機能は、返信機能(リプライ,reply)と呼ばれている。

mnews の返信機能には、次の2種類がある。

これらの機能を使うには、次の2つの方法がある。 いずれの場合も、r キー、または R キーを押と、mnews は、次のように問い 合わせてくる。

図5.3.13   rキー、または R キーを打った後の確認

図5.3.13 rキー、または R キーを打った後 の確認

その後、r キー(小文字)の場合には、図5.3.14 に示すように、エディ タが実行される。自動的に To: と Subject: が埋められていることがわかる。 これ以後の手順は、新たにメールを出す時と同じである。すなわち、本文を打 ち、保存し、エディタを終了させ、mnews に戻って確認し、送信する。

R キー(大文字)の場合には、図5.3.15 のような画面になる。相手の 電子メールの内容が、引用記号「>>」が付けられ て引用されていることがわかる。

図5.3.14  mnews  の r キー(小文字)を打った後の mule の画面

図5.3.14 mnews の r キー(小文字)を打っ た後の mule の画面

図5.3.15  mnews  のR キー(小文字)を打った後の mule の画面

図5.3.15 mnews のR キー(小文字)を打った 後の mule の画面

相手の電子メールの内容を引用し返事を出す時に注意することは、引用を最低 限に止めることである。それには、この段階で不要な部分を削り、必要な部分 だけを残す。名乗り、署名やあいさつの部分など、返事に関係ない部分を必ず 削るようにする。

◆不要な部分を削除する

mule で、不要な部分を消すには、次のようにする。

★練習問題

隣に座っている人からもらった電子メールに、rキーで返事を出しなさい。

★練習問題

隣に座っている人からもらった電子メールに、Rキーで返事を出しなさい。

■詳しい情報

この手引きに関して追加情報が、次のWWWページにある。

http://www.ipe.tsukuba.ac.jp/~yshinjo/tebiki/

mnews でネットワーク・ニュースを読み書きするための方法は、この手引きの 5.2節と5.4節で説明されている。

mnews では、「?」キーを打つと、簡単な説明が表示される。詳しいマニュア ルは、次のように打つと表示される。

% man mnews [←]

この表示を終了するには、q と打つ。

mnews については、次のWWWページにさまざまなドキュメントの一覧がある。

http://www.agusa.nuie.nagoya-u.ac.jp/~watanabe/mnews/

mnews便利ガイド (渡辺昭雄@名古屋大学情報工学科)


Last updated: 1998/09/28 04:40:43
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>