著作権法と規制

共通科目情報処理(講義)、社会学類対象、1997年06月20日

                                       電子・情報工学系
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

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■復習

乱数。暗号には書かせない。認証にも重要。 乱数を使っていると、通信が記録されても平気。

そろそろ社会学類の専門の話かもしれない。

暗号を甘く見たグループ

■著作権

著作権法(抄)

著作権法

著作権。 著作隣接権。演奏家。俳優。

パブリシティ権、 芸能人の氏名・肖像が持つ顧客吸引の経済的な利益ないし価値を排他的に支配 する財産的権利。

著作者人格権(公表権、同一性保持権、著作者の 名誉を害する方法による利用を妨げる権利)

放送 著作権法8条 放送 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信
の送信を行なうことをいう。
有線放送 著作権法9条の二 有線放送 有線送信のうち、公衆によつて同一の内容の送
信が同時に受信されることを目的として行うものをいう。
有線送信
著作権法17条 有線送信 公衆によつて直接受信されることを目的とし て線電気通信の送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の 部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場 合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信を除く。)を 行うことをいう。
ネットワーク、インターネットは、「有線送信」。 第39条、40条は、「有線放送」と「放送」について規定している。 「有線送信」は、できない。

プロトコル(規約)やアルゴリズム(解法)は、著作権では保護されない。 (10条)

雑誌のコピーは、いい。本はだめ。 図書館で本をコピーするのは、いい。

引用は、OK。でも、「公正」の視点で、「正当な範囲」でなら。

映画、音楽(歌詞、楽譜)関係は、非常に厳しい。 音楽では、通信カラオケ関係が決着。著作権法が改訂。 次は、インターネット。

これからの行方は、一人ひとりの行動にかかっている。

■インターネットと規制

シンガポール。

◆アメリカ

コミュニケーション品位法。 the Communications Decency Act of 1996。 1996年2月8日大統領が署名。

この法律に反対して、WWWページを黒くする運動が起きた。

アメリカ市民自由連合とアメリカ図書館協会などが訴訟。 その後、裁判が併合。

1996年6月11日に、フィラデルフィアの連邦地裁で違憲判決。 アメリカ政府は、最高裁に上訴。

インターネット上の18歳未満の者と定義された未成年者に対する「猥褻な」 あるいは「明らかに不快である」と定義されるコミニュケーションを管理する の条項が憲法違反である。

http://www.asahi-net.or.jp/~VR5J-MKN/jiji411.txt
コミュニケーション品位法 訴状と判決の和訳

PICS (Platform for Internet Content Selection)。子供が見ることができる ことができるWWWページを親が選別し遮断するための技術。

◆日本

日本国憲法には、通信の秘密の条項がある。 (アメリカには、表現の自由はあるが、通信の秘密の話はない。)

第21条 集会・結社・表現の自由と通信の秘密

 (1)集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障す る。

 (2)検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

NTTやIDOは、第1種通信事業者。 インターネット接続を提供する会社は、第2種通信事業者(付加価値通信網)。 電気通信事業法でも、繰り返されている。

電気通信事業法

(検閲の禁止)

第三条 電気通信事業者の取扱中に係る通信は、検閲してはならない。

(秘密の保護)

第四条 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。

2 電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中 に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。 その職を退いた後においても、同様とする。

通産省(電子ネットワーク協議会)、「電子ネットワーク運営における倫理綱 領」、1996年2月16日。

法務省、刑事法制に盗聴(電話の傍受、インターネットの傍受)を許す法律/ 条項を作ることを検討している。

郵政省、インターネットへの情報発信のルール化の検討に着手。

論点

http://www.toyama-u.ac.jp/~ogura/another_world/censor/netrin1.html
「倫理綱領」に抗議します
のページ。 インターネットを使った反対する人の連携。 「フランス核実験反対」が注目されて以降、動きが多い。

Bekkoame 事件。猥褻なWWWページを見つけた警察がインターネット・サー ビス・プロバイダを家宅捜索し、ハードディスクなどを押収した。プロバイダ は、作者の本名や住所を警察に提供した。そのWWWの作者は、捕まり、1審 で有罪判決を受けた。

広島海外リンク事件。不起訴。

画像処理ソフトウェア FL-Mask事件。公判開始。

NiftyServe 名誉毀損事件。1審判決。

法務省、盗聴法案。捜査当局の通信盗聴を合法化する法案。法制審議会にかかっ ている。10月に国会提出か。

◆筑波大学

筑波大学、 ipe.tsukuba.ac.jp からのネットワーク・ニュースの投稿規制。

筑波大学学生学則。

(掲示の許可)

第22条 学生又は学生の団体が、学内において文書、ポスター、立看板等 (以下「文書等」という。)を掲示しようとするときには、所定の文書等掲示・ 配布願を学長に提出し、その許可を受けなければならない。

2 学長は、前項の規定により掲示を許可した文書等に掲示承認印を押印する。

WWWページやネットワーク・ニュースの記事には、印鑑が押せない。 インターネットは、学内ではない。

小倉利丸 大学とインターネット

■日本国憲法99条

第99条 憲法尊重擁護の義務
 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法 を尊重し擁護する義務を負ふ。

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Last updated: 1997/06/20 02:38:31
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>