コンピュータと情報処理

共通科目情報処理(講義)、生物資源学類対象、2000年09月05日

                                       電子・情報工学系
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

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■今日の重要な話

情報扱い方の種類(広義の情報処理) 情報処理を学ぶ意義

現在のコンピュータをうまく使うには、内部の仕組み、作った人の都合を理解 する必要がある。

コンピュータのモデル

■情報

あまりよい情報の定義はない。

国語辞典。

じょうほう 【情報】
ある物事の事情についての知らせ。「海外―」「―を流す」
それを通して何らかの知識が得られるようなもの。
informationの訳語。「データ」が表現の形の面を言うのに対し、内容面 を言うことが多い。

新城の定義。情報とは、コピーしても同じものと思えるもの。

◆世の中の成り立ち

◆情報扱い方の種類(広義の情報処理)

computerとcalculatorは違う。 電卓。電子式卓上計算機。

◆情報処理の例。

実際には、いろいろな要素が混じって、厳密には分類不可能。 記憶媒体を移動させる/共有すると通信になる。 通信内容を保存することもできる。

◆情報処理の方法

この講義の内容は、主に機械とネットワークを使った情報処理の仕組みと応用 について扱う。

■情報処理を学ぶ意義

なぜ運転免許を取るか。 なぜ数学、外国語を勉強するのか。 なぜ読み書きをを勉強するのか。

20世紀の技術で、人間の生活に大きな変化を与えたもの。

アルビン・トフラーの第3の波。パワーシフト。

計算機科学(computer science)

コンピュータ・サイエンス急激な進歩の原動力は、コンピュータ。 他の分野の進歩にもコンピュータは、多いに貢献している。

計算機科学(computer science) 計算機科学の成果。

コンピュータの身になって考える。 コンピュータを作った人の身になって考える。

人間とコンピュータの競争。算盤・暗算との勝負。コンピュータの出始めの頃 の話。

コンピュータ社会での不安。The Net。 幽霊の正体見たり枯尾花。 取り残される不安。

通信装置としてのコンピュータ。 目の前にあるのは、コンピュータでも、通信相手は人間。 手紙と電子メール。 テレビ電話と携帯電話。

富士通のタッチおじさんと松下幸之助。 「コンピュータって何ができるの?」

計算機科学の再起概念(recurring concepts)。

ACM-IEEE Curriculum 1991。
  1. バインディング
  2. 大規模問題の複雑さ
  3. 概念的、形式的モデル
  4. 整合性と完備性
  5. 効率
  6. 進化
  7. 抽象化のレベル
  8. 空間における順番
  9. 時間における順番
  10. 再利用
  11. セキュリティ
  12. トレードオフ

日常生活でコンピュータを使わなくても使える技術

■授業計画

  1. 情報処理とは。情報処理を学ぶ意義。
  2. コンピュータのハードウェアと符号
  3. ソフトウェア、オペレーティング・システム
  4. ファイルとディレクトリ
  5. 木構造による情報の整理
  6. インターネット
  7. 暗号と電子貨幣
  8. 著作権と規制
  9. 標準化、複雑系、自己組織化、ミーム
この授業で何度も出てくるキーワード

応用(実習でやるもの)

応用。実習でやらないもの。

流行の技術と基礎的な技術。 利用者インタフェースの進化とどこでも計算(Ubiquitous Computing)。

■成績評価

期末試験を行う。この時、A4サイズの紙1枚以内(両面可)以内のレポート を参照してもよい(公式カンニングペーパー)。このレポートも試験の答案と いっしょに改修して採点の対象とする。

■推薦図書

立花隆、南谷宗、橋本穀彦、児玉文雄、安田浩、立花隆ゼミ著
新世紀ディジタル講義
新潮社、2000年7月15日。
ISBN4-10-395506-6

■ディジタル・コンピュータ

⇔アナログ・コンピュータ。

コンピュータとは、ビット列を入力し、ビット列を出力する機械である。 入力と出力がある。 入力と同様にビット列で与えるプログラムで、大きく動作を変えることが できる。

図1 単純なコンピュータのモデル、入力ビット列、出力ビット
パタン、プログラム

図1 単純なコンピュータのモデル

ビット(bit)とは、2つの状態のどちらかを表す情報の単位である。 2つの状態を、普通は、0と1で表す。

1ビットでは、0か1の2つのことしか区別できない。2つだけでは、文字や 数を表わすのに不足するので、普通は、複数のビットをまとめて使うことにな る。

現在の多くのコンピュータでは、複数のビットをまとめる場合、最小の単位と して8ビットを単位として1バイト(byte)呼んで使っている。1バイト(8 ビット)では、2の8乗、つまり、256種類のものを区別することができる。 実習で使っているコンピュータは、32ビットのコンピュータで、一度に32 ビットずつ計算をすることができる。

算盤。10進の算盤、各桁に珠が5個。各桁で0〜9の数を表わせる。

図2 10進算盤、普通の算盤、8桁

図2 10進算盤

2進の算盤、各桁に珠が1個しかない。各桁で0か1の数を表わせる。

図3 2進算盤、各桁に珠が1つしかない、8桁

図3 2進算盤

コンピュータは、ビット列(ビットの並び、順序に意味がある、ビットパタン) を入力してビット列を出力するもの。

人間の活動で、ビット列に変えられるものなら、コンピュータは何でもできる。 でも、得意・不得意はある。得意なのは、数と文字。最近は、音。図形。静止 画像。動画像も。

図4 単純なコンピュータのモデル

図4 単純なコンピュータのモデル

コンピュータの使い方(単に使う)。

図6 コンピュータの使い方(単に使う)

図5 コンピュータの使い方(単に使う)

コンピュータの使い方(プログラミング付き)。

図6 コンピュータの使い方(プログラミング付き)

図7 コンピュータの使い方(プログラミング付き)

コンピュータの、通信機器としての使い方。

図7 コンピュータの、通信機器としての使い方

図7 コンピュータの、通信機器としての使い方

電話、Faxのかわり。

■コンピュータで0、1以外のものが扱える理由

人間が言葉で主張することは、次のような方法で数学的に記述することができる。

チューリング機械:コンピュータの単純なモデル。無限のテープ、読み書きす るヘッド、制御部からなる。

記号論理学上の表現は、すべて2値論理のブール代数に置き換えることができる。 ( 言葉で記述されたものは、全て数の並びで表すことができる。 数の並びは、ブール代数に置き換えることができる。 )

ブール代数は、すべて電子回路で置き換えることができる。

人間は計算可能か。知能は定義できるのか。言葉で定義してしまうと、計算可 能になる。


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Last updated: 2000/09/05 00:57:09
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>