共通科目情報処理(講義)、生物資源学類対象、2000年10月17日 電子・情報工学系 新城 靖 <yas@is.tsukuba.ac.jp>
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インターネット
(
an internet
)
とは、もともとネットワークのネットワーク、つまり、いくつかのネットワー
クが
ルータ(router)というコンピュータを使って
相互接続されたもである。
最小のinternet(小文字)
インターネットではないネットワーク
世界最大のインターネットは、インターネットと呼ばれる。これは、英 語で書くと、固有名詞のということで頭を大文字にして the Internet と綴られる。今日の話題は、この固有名詞としてのインターネットである。
固有名詞としてのインターネットは、次のような意味を含む。
現在のインターネットは、 ARPANET という、1960年代の終りにアメリカ国防省の資金による研究プロジェクトの結 果作られたネットワークが元になっている。ARPANET の研究成果の1つとし て、TCP/IP という 通信プロトコルがある。 プロトコル(protocol)、 あるいは、 通信プロトコル(communication protocol) とは、通信を行う機器、コンピュータ、あるいは、プログラムの間でどのよう な手順で行うかを定めた規則である。
インターネットという言葉は、TCP/IP では 到達できなくても、 UUCP などの何らかの方法で 電子メールを交換できる範囲を意味することも ある。(電子メールが、インターネットの応用で最も重要。)
電話のネットワークと比較することで、インターネットの説明をする。通信量 で見た場合、1994年まで世界最大のネットワークは、電話であった。 1995年では、インターネット上を流れるデータの通信量が、電話による音 声の通信量を超えた。
ネットワークとして見た時の電話の特徴
インターネットの特徴
2000年ごろの日本のインターネットの様子。 インターネットの世界は、日進月歩で変化している。 このWWWページの内容は、すぐ古くなる。
日本でインターネットを利用する方法:
図? インターネット接続サービス・プロバタイダまでの接続方法
モデムは、電話回線などでビット列を送るための機器。 ビット列は、音の波の形に変換されて電話回線に送られる。
インターネット接続サービス・プロバイダ間も、仕組みとしては、ルータで接
続されている。
図? インターネット接続サービス・プロバタイダ間の接続
世界のインターネットの中心は、アメリカである。世界各国は、基本的には、 アメリカのインターネットのどこかに接続する。 アメリカ以外の2国間の通信も、アメリカ経由になることが多い。
インターネットで現在よく利用されているサービス(アプリケーション、 応用)には、次のようなものがある。
電子メール ( e-mail, electronic mail ) は、電話や(普通の)手紙と同じように、個人と個人の間で情報を交換するた めの仕組み。交換されるデータは、基本的は、文字データである。
電子メールの類語
電子メールの利点
ある特別なアドレスに電子メールを送ると、リストに登録されている全員にメー ルが配られる。
電子メールが主に1対1の通信であるのに対して、 ネットワーク・ニュース ( network news、 ネットニュース(netnews) ) ネットワーク・ニュースは、1対多の通信を提供する。 ある書き手のメッセージ(記事)を、大勢の人が読む。 交換されるデータは、基本的は、文字データである。
新聞やテレビと比較しての特徴
ファイル とは、コンピュータでデータを保存するための仕組みである。 ファイル転送 とは、 別のコンピュータにファイルをコピーすることである。 ファイルに保存できるデータならば、どんなデータでもコピーすることができる。
ftp(file transfer program/protocol)というのは、 ファイルをコピーするための プロトコル、あるいは、そのプロトコルを利用して コピーをするプログラムを意味する。
ファイル転送機能の面白い使い方の一つに、 匿名ファイル転送(annonymous ftp) がある。普通のファイル転送では、接続先のコンピュータに 利用者登録されている必要があり、接続時には、普通、利用者名と パスワードが聞かれる。 匿名ファイル転送では、利用者登録の必要がなく、誰でも自由にファイルをコ ピーすることがでる。ソフトウェア、各種のドキュメント、論文、テクニカル・ レポートの配布に使われている。
遠隔ログインとは、遠く離れたコンピュータを直接接続されているコンピュー タと同じように利用するための仕組みである。この機能を利用すると、遠くの コンピュータの計算パワーを利用したり、そのコンピュータで動いているデー タベースを利用することができるようになる。主に、文字による対話的な利用 で使われる。
2000年現在、筑波大学教育用コンピュータで実習室のパソコンから電子メー ルを讀む時には、遠隔ログインを行う必要がある。
WWW(The World-Wide Web) は、文字に加えて、絵や音も扱えるような掲示板である。
WWWの特徴
WWW で、データを手元のコンピュータの画面に表示させるためのプログラムを WWW の ブラウザ(browser) とう。browse とは、ぶらぶらと拾い読みをするというい意味である。 現在、よく使われているブラウザには、 Netscape、MS-Internet Explore、lynx などがある。
WWWページの数は、非常に膨大で、その中から必要な情報を見つけだすことは、 難しい。WWWでアクセス可能な検索プログラムを利用す る方法がある。以下で説明する FAQ を利 用する方法もある。
WWW は、個人の放送局、新聞社という意味がある。 放送局や新聞社は、権力と関連している。 クーデターが起きると、放送局や新聞社が押さえられる。 WWW で、権力の移動が起きている。
talk
と
phone
は、ネットワーク上で文字による会話をするためのプログラ。一方の画
面で打ち込んだ文字が、即座に相手の画面に現れる。
IRC (Internet Relay Chat)
は、文字による遠隔会議のプログラムある。ある参加者が打ち込んだメッセー
ジは、即座に他の行単位で参加している人全員に送られる(ネットワーク・ニュー
スでは、1つの文書単位で、遅延がある)。
IRCの参加者は、何種類かのプログラムを使って近くのサーバ・プログラムに 接続して、メッセージを送受信する。サーバ・プログラムは、 他のサーバ・プログラムとの間でメッセージの交換する。結果として世界中 の、地理的に離れている参加者の間でメッセージの交換することができる。
IRC のサーバには、世界規模のものもあれば、日本国内のもの、組織内のもの がある。1つの IRC のサーバでも、複数の会議室があり、この会議室のこと を IRC では、 チャネル(channel) (チャンネル、チャンネル) と呼んでいる。
電子メールでもWWWでも、TCP/IPという仕組みを用いて通信を行っている。 この節では、TCP/IP の仕組みについて簡単に説明する。 大事な考え方には、次のようなものがある。
電子メールでもWWWでも、TCP/IPを用いた通信では、 図のように、4つの プロトコルの 層(layer)( 通信の手順を決めた規則) が使われる。TCP/IP自身は、 TCP層 と ipそう という2つのプロトコルから成り立っている。 ネットワーク通信では、 さまざまなプロトコルが決められ、全体として層をなしている。この様子を、 プロトコル・スタック(protocol stack) と呼ぶ。
約束の上に約束を積み重ねる例。
IP (Internet Protocol) は、(信頼性がない)データグラム転送サービスを提供する通信プロトコルである。 データグラム(datagram) は、データと電報(telegram)から作られた造語で、 次のような性質を持つ。
データグラムは、葉書に似ている。IPのデータグラムが配達 されるときに使われる番号が、 IPアドレス である。IPアドレスとしては、現在32ビットの整数が使われている。 (森首相の演説で出てきた IPv6 では、IP アドレスは、128ビットになる。)
ルータは、IPアドレスを見て、データグラムの送り先を判断する。
郵便局で、住所を見て、送り先を判断するのと似ている。郵便局は、一番末端 のもの(ポストから集配したり家に配ったりする)ではなくて、中間的な集配を する郵便局がある。
同様に、ルータも、自分自信は、最終到達地点のコンピュータを知らなくても、 別のルータに送るだけのようなものもある。
ルータは、隣のルータや回線が故障した時には迂回路を探す。 迂回絽がなければ通信は途絶する。
IPアドレス を表現する時には、普通、8ビットずつ区切って、0から255までの10進 数を4つで表現される。たとえば、次のように書く。
これは、10進数でいくつになるかを計算したい時には、次のようにして計算 する。12.34.56.78
(((12 * 256)+34)*256+56)*256+78
TCP(Transmission Control Protocol,tcpip) は、IP の機能を利用して、信頼性のある(reliable)双方向の ストリーム転送サービス(stream transport service) を提供する通信プロトコルである。 (図)。 ストリーム には、次のような性質がある。
TCPで通信をする時に、通信相手を識別するにはIPアドレスと ポート番号(port number) が使われる。ポート番号は、16ビットの整数で、よく使われる アプリケーション ( サービス ) には、あらかじめどの番号を使うかが決めらている。これを well-knownポート番号(well-known port number) という。
TCP層の上には、 応用層 が定義されている。この層では、電子メールの転送、ファイル転送、遠隔ログ イン、WWW、といった TCP/IP を利用するプログラムの間の通信方法が定義さ れている。
TCP/IPを使った通信は、まるでコンピュータ同士(プログラム同士)が電話で 会話するように進められる。
IPのデータグラムを転送するためには、さまざまな物理的な媒体 (電線、光ケーブル、電波) が使わる。LANでは、次のような媒体が使われる。データグラムは、ネットワーク通信では、最も基本的な転送サービスである。 イーサネットやFDDIが提供する転送サービスも、データグラムである。
UDP (User Datagram Protocol) は、TCPと同様にIP上に構築されたプロトコルで、IPと同様にデータグラム 転 送サービスを提供する。UDP でも、通信相手を識別するにはIPアドレスと ポート番号 が必要である。よく使われる応用には、 well-knownポート番号が定義さ れている。