日本語・日本語文化学類2班,1996年9月9日 電子・情報工学系 新城 靖 <yas@is.tsukuba.ac.jp>
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電子メール(e-mail, electric mail)は、電話や(普通の)手紙と同じよう に、個人と個人の間で情報を交換するための仕組みです。電話と比べて電子メー ルの面白い所は、相手がその時なにをしていても、メッセージを送ることがで きます。メッセージを受けとった人は、自分が好きな時に電子メールを読むこ とができます。普通の手紙と比べると、電子メールの魅力は、非常に早いこと にあります。アメリカまで数十秒で届くこともあります。電子メールに浸った 人の間では、普通の手紙のことを、カタツムリ・メール(snail mail)と呼ん でいます。
電子メールは、普通の手紙と同じように、次のような基本的な操作があります。
読む、書く、返事を出す、受け取ったメールを整理する、環境を整える
今日は、練習として、次のようなことをしてみます。
------------------------------------------------------------ From: s991001@ipe.tsukuba.ac.jp (Shinjo Yasushi) To: yas@is.tsukuba.ac.jp Cc: s991001@ipe.tsukuba.ac.jp Date: Sun, 8 Sep 96 16:59:23 JST Subject: E-Mail Message-Id: <9609080759.AA23193@suzukake.ipe.tsukuba.ac.jp> こんにちは。 これは、電子メールの形式を示すためのテストです。 \\ 新城 靖 (しんじょう やすし) \\ \\ 筑波大学 電子・情報 \\ ------------------------------------------------------------電子メールの文書は、大きく次の2つに別れます。
ヘッダの部分では、To: の部分がなければ、相手に届きません。 From: は、普通メールを送る時に自動的に付けられます。これは、 相手が返事を出すときに作られます。Subject: は、大量の電子メー ルの中から目的の電子メールを探す時に重要なキーワードになりま す。メールを出すときには、きちんとした Subject: を付けるよう に心がけてください。
本文は、普通人間が読むだけで、電子メールを転送するプログラム が内容を解釈することはありません。ですから、得に形式はこだわ らないのですが、それでも普通の紙の手紙にはない独特の習慣があ ります。
電子メールと行っても、世の中の常識はそのまま通じます。始めて 電子メールを出す時や、目上の人に出すときには、普通の紙の手紙 と同じように気を付けるべきです。普通の手紙と少し違うことは、 比較的短い期間の間に返事を出すことが重要であるということです。 返事がないと、読んだのか読まなかったのかわかりません。 また、ネットワークのトラブルで本当に電子メールが無くなってし まうことがあります。
電子メールでは、漢字で1行も30文字から35文字(英数字の場 合は、60文字〜70文字)で折り返す習慣があります。これは、後で 説明する「引用」ということをやりやすくするためです。
電子メールの末尾には、「署名(signature)」といって、漢字の名 前や所属などを書く習慣があります。アルファベットの名前や電子 メール・アドレスは、From: に自動的に埋め込まれます。しかし、 漢字をそのまま From: に埋め込むと、電子メールを転送するプロ グラムがうまく扱えないこともあります。ですから、本文には、漢 字の名前を意識的に含める習慣があります。署名に付けることもあ りますし、本文の先頭に「名乗る」こともしばしば行われます。
電子メールでは、カタカナを書く時に、普通のテキストで漢字と同 じ大きさのものを使う約束があります。カタカナには、英語のアル ファベットや数字と同じ大きさのものがあります。詳しくは、後半 の授業で説明します。
電子メールを読み書きするために、mnews というコマンド( プログラム)を使うことにします。mnews は、本来は インターネットのネットワーク・ニュースというサービスを 利用するためのものですが、電子メールも読み書きすることができ ます。 mnews は、「学生支援メニュー」に出てくる「電子メール」の項目 よりもずっと使いやすく、便利な機能が豊富にあります。
mnews は、正面のパソコン(Mac,FMR)ではなく、裏で動いているコ ンピュータ(Sun)で動いています。mnews を動かすには、Sun に接 続して、コマンドモード で、次のように 打って下さい。
すると、次のような mnews の画面に切り替わります。---------------------------------------------------------------------- % mnews----------------------------------------------------------------------
mnews には、いくつかのモード(画面の形式)があります。 最初は、「ニュースカテゴリ」というモードです。
今日は、電子メールを読むための項目 E-Mail を利用します。 そのためには、カーソルを動かしてスペース・キー かiキーを押します。
1番下の行に注目して下さい。簡単な使い方が出ています。
---------------------------------------------------------------------- ?:ヘルプ j,^N:次行 k,^P:前行 SPACE,i:選択 l:表示モード切替 q:復帰 Q:終了 ----------------------------------------------------------------------
これは、次のような意味です。
ここで、^N というのは、コントロール・キー(control, ctrl, キーボードの左下)を押しながら、nキーを押すと いう意味です。emacs のカーソル移動と同じです。カーソル移動に は、j,^N,k,^Pの他に、矢 印キー(↑、↓)も使えます。
実は、mnews は、右手をキーボードのホーム・ポジションに置いた状態で楽に ネットワーク・ニュースの記事が読めるように作られています。左手は、最後 に終了のQを押すだけです。右手も次の5つキーだけしか使いません。
---------------------------------------------------------------------- j 右手人さし指 カーソルを下へ k 右手中指 カーソルを上へ i 右手中指 入り込む(in) o 右手薬指 抜ける(out) SPACE 右手親指 入り込む(in)、または、次のページへ ----------------------------------------------------------------------
まずは、右手の人さし指をj, 中指をk に合わせて、
j,k でカーソルが動くことを確かめて下さい。
そして、MAIL
を選んで、i を打って下さ
い。すると、次のような画面に変わります。
最初は、1通も電子メールが届いていないかもしれません。 そこで、自分あてに電子メールを送ってみて、それを読む練習をし ます。
電子メールを送るには、「メールボックス」と表示されている画面 から始めて、次のような手順になります。
s学籍番号@ipe.tsukuba.ac.jp「s学籍番号」は、ログインの時に「login: 」に大して打込むもの です。パスワードではありません。「コピー宛先(cc)」には、自分 のアドレスが表示されているはずですので、そのまま
(注意:9月9日の授業時間には、s学籍番号@ipe.tsukuba.ac.jpではなく s学籍番号@ipeipe.tsukuba.ac.jpと ipe が2回出ていました。 正しくは、1回です。また mnews が cc: を問い合わせて来る時に 最初から自分のメール・アドレスが埋め込まれています。)
自分に電子メールを出すことに成功した人は、次に隣にすわってい る人にアドレスを聞いて電子メールを出してみて下さい。
項目5で、mnews から一時的にエディタのプログラムに切り替わり ます。次はエディタの使い方を簡単に説明します。
mnews で電子メールを出す時には、ヘッダの部分は mnews が問い 合わせて来ます。これに対して、本文の方は、エディタと呼ばれる、 別の文書作成用プログラムにより作ることになります。現在の設定 では、ng という名前のエディタが実行されます。ng は、emacs と いうエディタの機能を簡単にしたものです。
次の図は、mnews で電子メールを出す時に、ヘッダの部分の打込み
が終わって本文の部分を作るために自動的にエディタ ng が起動さ
れた所です。
エディタ ng では、普通の文字(アルファベット、記号、漢字)を 打込むと、そのままカーソルのある位置に挿入されます。また、矢 印キー(4つ並んでいる←,→,↑,↓、カーソルキー)で、カーソ ルの位置を変えることができます。
ここでは、電子メールの本文を書きます。ヘッダの部分を修正して もかまいません。
電子メールの本文を書き終えたら、作成した文書を「保存」して、 エディタを「終了」させます。保存するには、次のように打ちます。
^X^Sここで、^Xは、コントロール・キー(control, ctrl, キー ボードの左下)を押しながら、xを1度押すという意味で す。これを、次のように書くことにします。
C-x C-sエディタを終了させるためには、次のようにします。
C-x C-cemacs でよく使うキーをまとめておきます。
------------------------------------------------------------ C-x C-s 保存 C-x C-c 終了 Delete または C-h 左の文字の削除 C-k カーソルから左の行末まで削除 (行末の場合は、改行の削除) ESC q 行の折り返し ------------------------------------------------------------「C-」は、コントロール・キーの意味。詳しくは、 →手引き(入門編)[55-61]。
ESC qESC は、esc と書かれたキーを押すことを意味します。 空行で区切られた範囲を段落(パラグラフ)としてみなして、カー ソルがある段落について、1行35文字になるように、折り返して くれます。
自分あてに出したメールは、数秒のうちには届くでしょう。「メー ルボックス」と表示されている画面で、 I (大文字のi, Shift-i)と打ちます。すると、先ほど送った電子メールが読める ようになります。
この画面では、読みたいメールにカーソルを合わせて、空白キー (SPACE)か、i と打つと、次のような画面に変り、そのメールの内 容が読めます。
短い電子メールの場合、全体が表示されます。長い電子メールの場 合、1画面分(1ページ分)表示した所で止ります。 ここでは、次のような操作をすることができます。
---------------------------------------------------------------------- キー 動き | キー 動き ---------------------------------------------------------------------- SPACE 1ページ進める | b 1ページ戻す j 1行進める | k 1行戻す q このメールの終了| ? ヘルプの表示 n 次の未読メールへ| p 前の未読メールへ N 次のメールへ | P 前の未読メールへ ----------------------------------------------------------------------
mnews で返事を出すには、返事を出したいメールにカーソルを合わせて R と打ちます。すると、次のような画面になります。
新たにメールを出す(「メールボックス」でm)では、宛 先や題目(Subject:)をいちいち打込まなければなりませんでした。 返事(「メールボックス」でR)では、宛先も題目も自動 的に作られます。
返事 R では、「>>」に続いて相手のメールの内容が取り 込まれます。これを、引用といます。ここで、相手の電子メールの 内容に関して、不要な部分を削除し、必要な部分だけを残して、自 分の返事を書きます。引用は、必要最小限にとどめるように注意し て下さい。名乗り、署名や挨拶の部分など、返事に関係ない部分を 必ず削るようにします。
ng (emacs) で、不要な部分を消すには、行末まで削除のC-k (^K, Control-k) が便利です。さらに、消したい場所の最初でC-SPC (Control-スペース・キー)を打ち、消したい場所にカーソルを移動 させて C-w と打つ方法もあります。
電子メールの本文が完成したら、保存(C-x C-s)して、終了(C-x C-c)します。後は、内容の確認をして、送信します。