2.6 著作権について

インターネット、特にネットワーク・ニュースという仕掛けは、基本的に非常 に高性能のコピー・マシンであると考えて下さい。あなたがネットワーク・ニュー スに投稿した記事は、多くの組織にコピーされます。また、雑誌の付録として、 CD−ROMにコピーされることもあります。ですから、他の人の著作物を自 分のネットワーク・ニュースの記事に取り込んで投稿する時には、細心の注意 が必要になります。

著作権法では、「引用」という言葉を定義しています。著作権法によると、次 のように著作物を「引用」することができると定めています。

   著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)

   第二章 著作者の権利

    第三節 権利の内容

     第五款 著作権の制限

 (引用)

第三十二条
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合 において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批 評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければな らない。
国又は地方公共団体の機関が一般に周知させることを目的として作成し、 その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これ らに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載 することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限 りでない。

「正当な範囲内」ならば、「公表された著作物」を安心して「引用」すること ができます。ただし、「正当な範囲内」がどこまでかは、非常に難しいです。 著作物の中で特に厳しい扱いを受けているのは、文学作品や歌詞です。これら は、表現そのものを売りにしているものだからです。他人の著作物である歌詞 を、自分の記事に取り入れて投稿した場合、歌詞を作った人から著作権侵害で 訴えられる可能性もあります。他人の著作物を自分の記事に取り込む場合は、 常に「正当な範囲内の引用に当たるか」を注意して下さい。それから、元の著 作物が何であるかを必ず明示するようにして下さい。本ならば、著者、出版社、 発行年、ISBN などを書くといいでしょう。

著作権法は、インターネットが発達する以前の法律です。インターネットの時 代では、合わない部分がたくさんあります。基本的に著作権法は、放送局や出 版社、それに、レンタル・レコード店といった業者を想定して作られています。 著作権法が制定された時には、個人の力が弱く、個人が著作権を侵害して被害 を与えるとは考えられていなかったのでしょう。インターネットは、個人の力 を大きく拡大します。著作権法もインターネットの出現に合わせて大きく修正 されることになるでしょう。

現在、ニュース・グループfj における著作権に関する議論が、 fj.soc.copyright, fj.news.policy というニュース・グループで議論されて います。これらのニュース・グループは、国会ではありませんので、ここでの 議論の結果がそのまま法律になるというわけではありません。しかし、ここで の議論が慣習となって定着することになるでしょう。法律は、そのような慣習 を認めるような形で作られることになるでしょう。

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1996/06/20 00:03:52

Yasushi SHINJO /<yas@is.tsukuba.ac.jp>