共通科目情報処理(講義)、体育専門学群対象、2000年04月27日
電子・情報工学系
新城 靖
<yas@is.tsukuba.ac.jp>
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授業を、情報処理の観点から見ると、教官が持っている情報を
学生が受け取るということである。
- 教官
- 自分が持っている知識、書籍、インターネット上の情報の中から材料を選
りすぐる(教官によるフィルタリング)
- 学生
- 教官の話のうち、自分にとって大事なものを選りすぐりながら受け取る
(学生によるフィルタリング)。
自分にとって大事な部分がどこかを判断しながら聞くことが大事になる。
いくつかの戦略がある。
- 教官が大事だと強調している部分を大事にして試験の点数を上げる
- 自分が大事だと思うものを教官から引き出すために質問する。
教科書を使わない理由。
- 手ごろな教科書がない。
- 変化が激しくて教科書がすぐに古くなる。
- 要求が違う。
高校までの勉強の方法、授業の利用方法を切り替える必要がある。
ノートを取るのは、フィルタリングを行って大事な部分や
紙媒体に記憶させた方がいいものだけを書く。
- コンピュータは、ビット列入れてるとビット列が出てくる。
- ビット列に変換できる情報(符号化できる情報)は、コンピュータで扱える。
- 数の符号化は、複数のビットをまとめて扱うことで行う。
- 文字の符号化には、何種類もある。
文字を符号化することには、いくつかの意義がある。
- 記憶要領の節約になる。画像で表す方法と比較して。
- 表示の書体(フォント)、字の大きさを自由に変えることができる。
- 誰が作っても同じ文字は同じ文字として比較することができる。
逆に文字を符号化してしまうと、個人の性質を出したい時には、問題がある。
たとえば、署名やラブレター。
文字の符号化には、何種類もある。符号化の方法を知らないと「文字化け」を
起こす。
日本語の符号化には次の3つがよく使われる。
文字化けを起こした時には、これらを切り替えてみる必要が出てくることがあ
る。
- 画像や音声の符号化の方法にもいくつもの種類がある。
- 画像や音声は、データ量が大きくなってしまう。圧縮技術が大事になる。
- コンピュータの中には、重要な2種類のメモリが入っている。
- コンピュータの部品である CPU は、速度を決める。
細かい点(画素、ピクセル、pixel)の集合として扱う。次の2つの数で決まる。
- 画素の数。
- 1つの画素での色の数。色の深み。階調。
画素数の感覚。
- コンピュータのモニタの画素数は、1000x1000==100万くらい。
- プリンタの画素数は、A4で 3万x4万==12億くらい。
- 印刷物は、コンピュータのプリンタよりもずっと多い。
単位面積あたりの画素数を、解像度という。面積が決まっている場合には、画
素数と解像度が混同されて使われることがある。
色と階調には、次のような種類がある。
- 白黒。2階調。Fax。
- グレースケール。明るさだけ。
- カラー。
カラーでも、1ピクセルに使うビット数で、いろいろな種類がある。
- 3ビット(Red, Gree, Blue で1ビット)。8色(2の3乗)。
- 8ビット。256色(2の8乗)。
- 16ビット。6万色(2の16乗)。
- 24ビット。1677万色(2の24乗)。
色の名前の付け方には、いろいろある。
- RGB, Red Green Blue。
- CMYK (シアン、マゼンダ、黄色、黒)。
画像は、大きいので、「圧縮」したい。つまり、同じ画像をより小さなデータ
量で表現したい。
- Run-length圧縮。Fax。
- 周辺を予想する。
- 劣化式圧縮。劣化圧縮。人間の目に気がつかない所で
データの一部を捨てる。JPEGで, MPEG使われている。
画像の表現形式にも、何種類もある。自分が使えるコンピュータで全ての種類
の画像が扱えるわけではない。操作する時には、自分が扱えるかどうかを調べ
る必要がある。場合によっては、形式の「変換」をする必要がある。
よく使えれている画像の形式には、次のようなものがある。
- ビットマップ。白黒。
- ピクセルマップ。
- CompuServe GIF。256色。
- Microsoft BMP
- Apple PICT
- JPEG
コンピュータで動画像を扱うには、基本的には、テレビ、映画、アニメーショ
ンと同じで、静止画像を次々と切り替えることをする。
次の2つの数で決まる。
ビデオ品質のデータ。
- 画素数: 235ドット×240ドット
- 階調: 16ビットくらい?
- 1秒当たりのフレーム数: 30
1秒あたりのデータ量: 235*240*16*30 == 27,072,000 ビット。
1文字16ビットの文字なら、27,072,000 / 16 == 1,692,000 文字分。
HDTV (高精細テレビ) High Definition TeleVision
- 画素数: 720ドット×480ドット、または、1280×720ドット
- 階調: 24ビットくらい?
- 1秒当たりのフレーム数: 60
1秒あたりのデータ量: 1280*720*24*60 == 1,327,104,000ビット。
とにかく圧縮したい。
- MPEG-1
- MPEG-2。DVD (Digital Versatile Disc)で使われている。
MPEG-2 は、
DVD に使われており、2時間の動画像を数Gバイト(数
1,000,000,000*8ビット)に圧縮することができる。基本的な技術は、次の2つ
である。
- 差分をつかう。前の画像との差分だけを記録する。
- 劣化圧縮。
音をコンピュータで扱うには、次のような手順になる。
- 音を電気信号に変える(マイクロホン)
- 電気信号を数字に変える(A/Dコンバータ)
- コンピュータで計算/通信/蓄積する
- 数字を電気信号に変える(D/Aコンバータ)
- 電気信号を音に変える(スピーカ)
音データの品質は、次の数で決まる。
- 標本化(サンプリング・レート)。電気信号を数字に変える頻度。Hzで表す。
- 量子化数(サンプリング・サイズ)。数字に変える時に何ビットで表わすか。ビットで表す。
- チャネル数。ステレオなら2。(単位なし)
図7 アナログ信号のディジタル化
CD品質
- サンプリング・レート:44,100Hz
- サンプリング・サイズ:16ビット
- チャネル数:2
CDに含まれているデータ量。
44100 [1/秒] *16 [ビット] *2 ==1411200 [ビット/秒]
1411200 [ビット/秒] * 60 [秒/分] *70 [分/枚] == 5927040000 [ビット/枚]
5927040000 [ビット/枚] / 8 [ビット/バイト] == 740,880,000 [バイト/枚]
〜740 M [バイト/枚]
電話品質
- サンプリング・レート:8000Hzくらい
- サンプリング・サイズ:8ビットくらい
- チャネル数:1
1秒当たりのデータ量: 8000 * 8 == 64000 (64k)
音の符号化の方法(圧縮方法):
- PCM(Pulse Code Modulation)
- DPCM(Differential PCM)。差分を使う。
- ADPCM(Adaptive Differential PCM)。差分を特別なコードで表わす。
- 無音エンコーディング。無音部分を長さで置き換える。
- 対数を使う。(μ法則、A法則)
- MP3
ハードウェアの話は、この授業では、これだけである。
大事なことは、2種類のメモリが使われている所。
図8 コンピュータのハードウェアの要素
- CPU(Central Processing Unit)。
- メモリ(主記憶)
- 入出力装置(I/O)。コントローラと呼ばれる部品を
経由して接続されている。
- ハードディスク(2次記憶)
- キーボード
- マウス
- ディスプレー(CRT、)
- ネットワーク
部品は、「バス」と呼ばれる配線の束で結ばれている。
部品間は、バスを通じてデータを交換する。
コンピュータの内部の部品
- 計算のための部品
- 記憶のための部品
- 通信のための部品
コンピュータの中では、いろいろな種類の記憶のための部品、すなわち、メモ
リが使われている。もっとも重要なものは、メインメモリ(主記憶)と呼ばれ
ているもので、単にメモリといった時には、メインメモリを差す。メインメモ
リは、IC(Integrated Circuit、シリコンという元素による半導体で作られ
た電気回路)でできている。その他に、ハードディスクやフロッピ・ディスク
も重要な記憶のための部品である。
記憶容量は、主にバイト(1バイトは8ビット)で数える。
次の単位の感覚があると、便利である。
- 1 B バイト ==8ビット。(アメリカでは1文字。)
- 1 k B == 1024 B == 1,000 B
- 1 M B == 1024 k B == 1024 * 1024 == 1,000,000 B
- 1 G B == 1024 M B == 1024 * 1024 * 1024 == 1,000,000,000 B
記憶のための部品は、いろいろな分類方法がある。
メモリの分類(その1)。
- 揮発的(volatile)。電源を切ると消えてしまう。
- 永続的(persistent,stable)。電源を切っても残っている。
メモリの分類(その2)。
- 読み込み専用。
- 読み書き可能。
- 読み書き可能。ただし、追加しかできず、1度書込んだものは
消せない。
メモリの分類(その3)。
- 逐次アクセス。先頭から順にしかデータを読み書きできない。
テープのようなもの。
- ランダムアクセス。どんな順番でもデータを読み書きできる。
メモリの分類(その4)。
- 固定されている。取り外し不可能。ハードディスク。
- 取り外し可能(removable)。
フロッピ・ディスク。光磁気ディスク(MO)。メモリ・カード。
MD。CD。DVD。
メモリには、番地が付いている。
メモリの分類(その5)。
- 細かい番地付け(ビット単位、バイト単位、ワード単位)
- 荒い番地付け(512バイト、1024バイト、8192バイト)
メモリの分類(その6)。
メモリの分類(その7)。
コンピュータで使われているメモリ。
- RAM (Random Access Memory)。IC。
- 揮発的。読み書き可能。ランダム・アクセス。固定。細かい番地付け。
速い。高い。
- ROM (Random Access Memory)。IC。
- 揮発的。読み込み専用。ランダム・アクセス。固定。細かい番地付け。
速い。高い。
- フロッピ・ディスク。
- 永続的。読み書き可能。ランダム・アクセス。取り外し可能。荒い番地付け。
遅い。安い。
- ハードディスク。
- 永続的。読み書き可能。ランダム・アクセス。固定。荒い番地付け。
遅い。安い。
- CD-ROM。
- 永続的。読み込み専用。ランダム・アクセス。取り外し可能。荒い番地付け。
遅い。安い。
1997/04/24 ごろの話
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媒体 値段 容量 1MBの値段 速度
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フロッピ 40円 1.4MB 30円/MB -
光磁気ディスク 1000円 230MB 4.3円/MB 30x10^-3
ハードディスク 4万円 2000MB 20円/MB 10x10^-3
CPU 数万円 数100B 1億円MB 5x10^-9
D-RAM 1万円 16MB 625円/MB 50x10^9
CD-ROM 数100円 640MB 1円/BM
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2000/04/27 ごろの話
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媒体 値段 容量 1MBの値段 速度
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フロッピ 40円 1.4MB 30円/MB -
光磁気ディスク 500円 230MB 2.3円/MB 30x10^-3
ハードディスク 2万円 2500MB 0.8円/MB 10x10^-3
CPU 数万円 数100B 1億円MB 0.5x10^-9
SD-RAM 1万円 128MB 78円/MB 50x10^9
CD-R 150円 640MB 0.2円/BM
DVD-RAM 3500円 5200MB 0.6円/MB
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CPU (Central Processing Unit、中央処理装置、中央演算装置)は、
コンピュータの計算を行う部品である。
CPU には、数が少ないが、計算の中間結果を置くための高速なメモリ(レジス
タ)が入っている。
CPU は、メモリ(主記憶)に入っいているプログラムに従って、やはりメモリ
(主記憶)に入っいているデータを操作する。
CPU の種類によって、プログラムが違う。
CPU は、コンピュータの速度を決める重要な要素となる。
(CPUだけ速くても他の部品が遅いと、全体として遅くなることがある。)
CPUが速いほど、計算は速い。CPUの速さは、クロックの周波数(単位は、Hz)を
目安にできる。たとえば、500MHz の CPU は、250MHz の CPU の2倍の速度が
出ると期待できる。ただし、CPU の種類が違うと直接的な比較はできない。
しかし、コンピュータの処理には、CPU による加工だけでなく、
加工を伴わないコピーもかなり多い。コンピュータの性能を決めるのは、
CPU の
計算だけではない。特にハードディスクからメインメモリに対するコピーの
速度や、ネットワークを経由したコピーの速度も大きな影響を与える。
メインメモリをたくさん積むと、ハードディスクからメインメモリへのコピー
の回数が減らせる。前にメインメモリにコピーしたデータを、それだけたくさ
ん残しておけるからである。(キャッシング)。
人間の意思を符号に変えてコンピュータ送る機器。
(コンピュータにとっては、入力装置)
- キーボード
- マウス
- マイクロホン&A/Dコンバータ
- イメージ・スキャナ
- ディジタル・カメラ
- 手書き文字認識と音声認識
コンピュータの中のビットパタンを人間が理解するための道具。
(コンピュータにとっては、出力装置。)
- CRT(cathode-ray tube,ブラウン管)
- 液晶ディスプレー
- ブザー
- D/Aコンバータ&スピーカ
- 音声合成
「計算」からビジネス情報処理へ。
チューリング・マシン、λ計算、
IBM(International Business Machines)。
コンピュータの内部には、次のようなビットに対する演算を行う回路が含まれ
ている。
この3つの演算さえあれば、どんな計算でも可能であることが知られている。
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Last updated: 2000/04/27 03:02:55
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>