絵と音の符号化とコンピュータのハードウェア構成要素

共通科目情報処理(講義)、体育専門学群対象、2000年04月27日

                                       電子・情報工学系
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

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■印刷配布資料

■大学の授業の方法

授業を、情報処理の観点から見ると、教官が持っている情報を 学生が受け取るということである。
教官
自分が持っている知識、書籍、インターネット上の情報の中から材料を選 りすぐる(教官によるフィルタリング)
学生
教官の話のうち、自分にとって大事なものを選りすぐりながら受け取る (学生によるフィルタリング)。
自分にとって大事な部分がどこかを判断しながら聞くことが大事になる。 いくつかの戦略がある。 教科書を使わない理由。 高校までの勉強の方法、授業の利用方法を切り替える必要がある。 ノートを取るのは、フィルタリングを行って大事な部分や 紙媒体に記憶させた方がいいものだけを書く。

■復習

■文字の符号化の意義

文字を符号化することには、いくつかの意義がある。 逆に文字を符号化してしまうと、個人の性質を出したい時には、問題がある。 たとえば、署名やラブレター。

文字の符号化には、何種類もある。符号化の方法を知らないと「文字化け」を 起こす。

日本語の符号化には次の3つがよく使われる。

文字化けを起こした時には、これらを切り替えてみる必要が出てくることがあ る。

■今日の重要な話

■符号化

◆静止画像の符号化

細かい点(画素、ピクセル、pixel)の集合として扱う。次の2つの数で決まる。

画素数の感覚。 単位面積あたりの画素数を、解像度という。面積が決まっている場合には、画 素数と解像度が混同されて使われることがある。

色と階調には、次のような種類がある。

カラーでも、1ピクセルに使うビット数で、いろいろな種類がある。

色の名前の付け方には、いろいろある。

画像は、大きいので、「圧縮」したい。つまり、同じ画像をより小さなデータ 量で表現したい。

画像の表現形式にも、何種類もある。自分が使えるコンピュータで全ての種類 の画像が扱えるわけではない。操作する時には、自分が扱えるかどうかを調べ る必要がある。場合によっては、形式の「変換」をする必要がある。

よく使えれている画像の形式には、次のようなものがある。

◆動画像の符号化

コンピュータで動画像を扱うには、基本的には、テレビ、映画、アニメーショ ンと同じで、静止画像を次々と切り替えることをする。 次の2つの数で決まる。

ビデオ品質のデータ。

1秒あたりのデータ量: 235*240*16*30 == 27,072,000 ビット。
1文字16ビットの文字なら、27,072,000 / 16 == 1,692,000 文字分。

HDTV (高精細テレビ) High Definition TeleVision

1秒あたりのデータ量: 1280*720*24*60 == 1,327,104,000ビット。

とにかく圧縮したい。

  MPEG-2 は、 DVD に使われており、2時間の動画像を数Gバイト(数 1,000,000,000*8ビット)に圧縮することができる。基本的な技術は、次の2つ である。

◆音の符号化

音をコンピュータで扱うには、次のような手順になる。

  1. 音を電気信号に変える(マイクロホン)
  2. 電気信号を数字に変える(A/Dコンバータ)
  3. コンピュータで計算/通信/蓄積する
  4. 数字を電気信号に変える(D/Aコンバータ)
  5. 電気信号を音に変える(スピーカ)
音データの品質は、次の数で決まる。

図7 アナログ信号のディジタル化、棒グラフとアナログ信号

図7 アナログ信号のディジタル化

CD品質

CDに含まれているデータ量。

44100 [1/秒] *16 [ビット] *2 ==1411200 [ビット/秒]
1411200 [ビット/秒] * 60 [秒/分] *70 [分/枚] == 5927040000 [ビット/枚]
5927040000 [ビット/枚] / 8 [ビット/バイト] == 740,880,000 [バイト/枚]
〜740 M [バイト/枚]

電話品質

1秒当たりのデータ量: 8000 * 8 == 64000 (64k)

音の符号化の方法(圧縮方法):

■コンピュータのハードウェアの話

ハードウェアの話は、この授業では、これだけである。

大事なことは、2種類のメモリが使われている所。

図8 コンピュータのハードウェアの要素

図8 コンピュータのハードウェアの要素

部品は、「バス」と呼ばれる配線の束で結ばれている。 部品間は、バスを通じてデータを交換する。

コンピュータの内部の部品

◆記憶のための部品:メモリ

コンピュータの中では、いろいろな種類の記憶のための部品、すなわち、メモ リが使われている。もっとも重要なものは、メインメモリ(主記憶)と呼ばれ ているもので、単にメモリといった時には、メインメモリを差す。メインメモ リは、IC(Integrated Circuit、シリコンという元素による半導体で作られ た電気回路)でできている。その他に、ハードディスクやフロッピ・ディスク も重要な記憶のための部品である。

記憶容量は、主にバイト(1バイトは8ビット)で数える。 次の単位の感覚があると、便利である。

記憶のための部品は、いろいろな分類方法がある。

メモリの分類(その1)。

メモリの分類(その2)。 メモリの分類(その3)。 メモリの分類(その4)。

メモリには、番地が付いている。

メモリの分類(その5)。

メモリの分類(その6)。 メモリの分類(その7)。 コンピュータで使われているメモリ。
RAM (Random Access Memory)。IC。
揮発的。読み書き可能。ランダム・アクセス。固定。細かい番地付け。 速い。高い。
ROM (Random Access Memory)。IC。
揮発的。読み込み専用。ランダム・アクセス。固定。細かい番地付け。 速い。高い。
フロッピ・ディスク。
永続的。読み書き可能。ランダム・アクセス。取り外し可能。荒い番地付け。 遅い。安い。
ハードディスク。
永続的。読み書き可能。ランダム・アクセス。固定。荒い番地付け。 遅い。安い。
CD-ROM。
永続的。読み込み専用。ランダム・アクセス。取り外し可能。荒い番地付け。 遅い。安い。
1997/04/24 ごろの話
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媒体		値段	容量	1MBの値段	速度
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フロッピ	40円	1.4MB	30円/MB		-
光磁気ディスク	1000円	230MB	4.3円/MB	30x10^-3
ハードディスク	4万円	2000MB	20円/MB		10x10^-3
CPU		数万円	数100B	1億円MB		5x10^-9
D-RAM		1万円	16MB	625円/MB	50x10^9
CD-ROM		数100円	640MB	1円/BM		
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2000/04/27 ごろの話
----------------------------------------------------------------------
媒体		値段	容量	1MBの値段	速度
----------------------------------------------------------------------
フロッピ	40円	1.4MB	30円/MB		-
光磁気ディスク	500円	230MB	2.3円/MB	30x10^-3
ハードディスク	2万円	2500MB	0.8円/MB	10x10^-3
CPU		数万円	数100B	1億円MB		0.5x10^-9
SD-RAM		1万円	128MB	78円/MB		50x10^9
CD-R		150円	640MB	0.2円/BM
DVD-RAM		3500円	5200MB	0.6円/MB	
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◆CPU (Central Processing Unit)

CPU (Central Processing Unit、中央処理装置、中央演算装置)は、 コンピュータの計算を行う部品である。

CPU には、数が少ないが、計算の中間結果を置くための高速なメモリ(レジス タ)が入っている。

CPU は、メモリ(主記憶)に入っいているプログラムに従って、やはりメモリ (主記憶)に入っいているデータを操作する。

CPU の種類によって、プログラムが違う。

CPU は、コンピュータの速度を決める重要な要素となる。 (CPUだけ速くても他の部品が遅いと、全体として遅くなることがある。)

CPUが速いほど、計算は速い。CPUの速さは、クロックの周波数(単位は、Hz)を 目安にできる。たとえば、500MHz の CPU は、250MHz の CPU の2倍の速度が 出ると期待できる。ただし、CPU の種類が違うと直接的な比較はできない。

しかし、コンピュータの処理には、CPU による加工だけでなく、 加工を伴わないコピーもかなり多い。コンピュータの性能を決めるのは、 CPU の 計算だけではない。特にハードディスクからメインメモリに対するコピーの 速度や、ネットワークを経由したコピーの速度も大きな影響を与える。

メインメモリをたくさん積むと、ハードディスクからメインメモリへのコピー の回数が減らせる。前にメインメモリにコピーしたデータを、それだけたくさ ん残しておけるからである。(キャッシング)。

◆利用者インタフェース

人間の意思を符号に変えてコンピュータ送る機器。 (コンピュータにとっては、入力装置) コンピュータの中のビットパタンを人間が理解するための道具。 (コンピュータにとっては、出力装置。)

■理論

「計算」からビジネス情報処理へ。 チューリング・マシン、λ計算、 IBM(International Business Machines)。

コンピュータの内部には、次のようなビットに対する演算を行う回路が含まれ ている。

この3つの演算さえあれば、どんな計算でも可能であることが知られている。
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Last updated: 2000/04/27 03:02:55
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>