Mule(ng,emacs)の使い方(1)

共通科目情報処理(実習)、国際総合学類対象、1996年12月20日

                                       電子・情報工学系
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

このページは、次の URL にあります。
http://www.hlla.is.tsukuba.ac.jp/~yas/ipe/kokusai2-enshu-1996/1996-12-20 /mule-1.html
あるいは、次のページから手繰っていくこともできます。
http://www.hlla.is.tsukuba.ac.jp/~yas/ipe
http://www.hlla.is.tsukuba.ac.jp/~yas/index-j.html
http://www.ipe.tsukuba.ac.jp/~yshinjo
http://www.ipe.tsukuba.ac.jp

■エディタ ng,emacs,mule

エディタ(editor)とは、テキスト・ファイルを作ったり内容を書き替えたりす るためのコマンド(プログラム)です。mnews で電子メールの本文を書く時には、 標準では、エディタとして ng が実行されます。ng は、emacs というエディ タの機能を簡素化したものです。emacs が進化して、多国語対応 (multilingual)になったものが、mule です。emacs の日本語対応版 nemacs というものもあります。

       簡素化
emacs  ------> ng
  |
  +----------> mule
   多国語対応

実習で使っているコンピュータ(Sun)には、ng と mule が入っています。 emacs 打つと、mule が実行されるようになってます。普段使っている分には、 ng, emacs, mule の区別は、あまり気がつきません。このページでは、emacs で代表させて説明しますが、特に断わりがない所では、同じと考えて下さい。

■実行

emacs は、電子メールやネットワーク・ニュースの記事を書く時に自動的に実 行されます。ある特定のファイルを編集(edit,書き替え)したい時には、次の ように単独で実行します。

% emacs ファイル名 [←]
引数 として、編集したいファイルの名前を与えます。

mnews で電子メールやネットワーク・ニュースの記事の本文を書く時には、次 のような引数で emacs が実行されています。

emacs ~/.message
emacs で本文を書いてして、C-x C-s で保存した場合、~/.message という名前のファイルに保存されます。emacs を C-x C-c で終了し た場合には、mnews の実行が再開します。emacs が動いている間mnews は、 emacsの終了を待って止っています。

■文字の打ち込み

emacs では、キーボードから打込んだ普通の文字(アルファベット、数字、記 号、漢字)などは、そのまま画面に書き込まれます。(これに対して、vi とい うエディタでは、「これから文字を打つ」という命令を打った後で文字を打ち ます。)

■操作

特殊な操作をしたいときには、コントール・キーや ESC キー (Escape,エスケープ)を使います。

操作をするキーには、次のようなものがあります。

C-何か (コントロール) 
コントロール・キーを押しながら、 何か他のキー(アルファベットや空白、@ など)を打つ。
M-何か あるいは、ESC 何か
ESC キーを打った後に、 何か他のキー(アルファベットや空白、@ 、コントロール・キーを押しながら も含む)を打つ。 全部で普通2回キーを打つ(もっと多くなることもある)。
C-x 何とか
コントロール・xを打った後に何か他のキー 何か他のキー(アルファベットや空白、@ 、コントロール・キーを押しながら も含む)を打つ。 全部で普通2回キーを打つ(もっと多くなることもある)。
ESC x 機能名
機能に付いている名前でその機能を呼びだし、操作する。
詳しくは、→手引き(入門編)[55-61]。

■困った時には C-g

何か emacs がおかしな状態になった時には、C-g (control-g)を何度か 押します。

■保存と終了

C-x C-cで終了します。普通は、終了の前に C-x C-s で編集中の内容をファイ ルへ保存します。しかし、保存しないで終了しようとした時には、次のように 聞いてくる。
----------------------------------------------------------------------
Save file /home1/yshinjo/dir1/file1? (y or n)
----------------------------------------------------------------------
保存(save)する時には、y, 保存しない時には n を押します。

もし、ここで n を押した場合、emacs は、さらに次のように聞いてくる。

----------------------------------------------------------------------
Modified buffers exist; exit anyway? (yes or no)
----------------------------------------------------------------------
ここで、バッファ(buffer)とは、emacs 独自の用語です。バッファとは、 emacs を終了すると消えてしまうメモリと考えていいでしょう。emacs は、保 存しないで終了する時には、念には念を入れて確認してくるわけです。しかも、 保存するかしないかの時には、y, n の1文字だったのが、 今度は、yes, no と、複数文字にさらにリターン・キー [←] まで押さないといけないように作られています。

■インクリメンタル・サーチ

emacs では、C-s を推すと、テキスト中の文字列を検索して、見つかっ た場所にカーソルを移動してくれます。このとき、キーを押す度に、そこまで 打たれた文字を探してカーソルの位置が変わります。この機能は、打つ度に検 索をすることから、インクリメンタル・サーチ(incremental search, isearch)と呼ばれています。

インクリメンタル・サーチを始める時には、C-s と打ちます。イン クリメンタル・サーチの途中で、見つけたい文字列が見つかった時には、 ESCキーを押します。(mule の新しい班では、リターン・キーを押 します。) 今まで打ち込んだ文字列と同じ文字列で、次の文字列を探して移 動したい時には、C-s を押します。C-r と打つと、文書の 下から上の方向にインクリメンタル・サーチを行います。 途中でインクリメンタル・サーチを中止したくなった時には、C-gを 打ちます。

■カット-アンド-ペースト

エディタやワープロでは、カット・アンド・ペースト(cut&paste)という操 作がよく使われます。カットとは、文書の一部を表面上削除するのですが、内 部的なメモリに保存することです。ペーストとは、カット操作で保存してもの を、文書に挿入することです。カット・アンド・ペーストとよくにたもので、 コピー・アンド・ペースト(copy&paste)というものもあります。コピー・ア ンド・ペーストでは、操作対象の文書の一部は、削除されずに残っています。

カット・アンド・ペーストを使うと、次のようなことができます。

emacs で、カット・アンド・ペーストを使うには、領域(region)というものを 使います。領域とは、目に見えないマーク(mark)とカーソルの間のことです。 マークを付けるには、マークを付けたい場所にカーソルを移動させ、 C-SPC (コントロール-SPACE) や C-@ を押しま す。その後、カーソルを移動させると、前にマークを付けた所と、カーソルの 間が領域(region)になります。

領域をカットする操作は、C-w です。 領域をコピーする操作、ESC w です。 ペーストは、C-y です。

■ng(emacs)による自動行折返し

電子メールでは、漢字で1行も30文字から35文字(英数字の場 合は、60文字〜70文字)で折り返す習慣があります。これは、後で 説明する「引用」ということをやりやすくするためです。 手作業でこのようなことをしてもいいのですが、ng(emacs) には自 動的にこれをやってしまう機能があります。それは、 fill-paragraphという機能で、次のようにキーを打つと使えます。
	ESC q
ESC は、esc と書かれたキーを押すことを意味します。 空行で区切られた範囲を段落(パラグラフ)としてみなして、カー ソルがある段落について、1行35文字になるように、折り返して くれます。

■Deleteキー

ng では、C-h で、左の1文字削除になります。emacs, mule では、 C-h は、help の意味で、C-h に続いて押したキーによっ て様々な説明が表示されます。C-h t, C-h T を押すと、 上で説明した通り、自習機能を使うことができます。

emacs, mule で1文字削除は、delete を使います。 delete キーは、FMR では、カーソル・キー(4つ並んでいる←,→, ↑,↓)の上の方にあります。リターン・キーの上にある左矢印 [←←(左を向いた⇒)] では、C-h が入り、1文字削除としては 使えないことがあります。 Macintosh では、個々のコンピュータで設定が違っていて、うまく delete キーが入らないことがあります。その時には、次のようにし て、Telnet の設定を自分で直すこともできます。

図4-1 telnetのdeleteキーの扱い(emacs,muleの1文字削除のため) '

図4-1 telnetのdeleteキーの扱い(emacs,muleの1文字削除のため)

この図で、Session メニューで、Delete を選ぶと delete キーが delete として働きます。Backspace を選ぶと、delete キーが Control-Hとして働きます。

なお、ng, emacs, mule とも、左の1文字削除がうまくいかない時には、次の ようにするといいでしょう。

■自習機能(tutorial)

emacs や mule には、自習機能(tutorial)が付いています。それを利用するに は、まず、次のように、emacs か mule のどちらか(どちらでも同じ, ng で はだめ)を引数なしで実行します。
% mule [←]
すると、画面に、どのような操作をすれば、自習機能(tutorial)が使えるかが 表示されます。

図4-2 emacsの自習機能(引数なしで実行した直後の画面)

図4-2 emacsの自習機能(引数なしで実行した直後の画面)

この図の例では、C-h t で英語の自習機能を、C-h T で日 本語の自習機能を、使うことができることがわかります。どのようなキー操作 かは、設定によって異なります。

自習機能には、英語と日本語の2種類があります。案外、英語の方がわかりや すいかもしれません。というのも、emacs の操作、得に、コントロール・キー を使うものは、英単語を元に名前が付けられているからです。英語になるか日 本語になるかは、キーを打つ時に大文字か小文字かで変ってきます。

■まとめ

emacs でよく使うキーをまとめておきます。
------------------------------------------------------------
C-x C-s			保存
C-x C-c			終了
Delete または C-h	左の文字の削除
C-k			カーソルから左の行末まで削除
			(行末の場合は、改行の削除)
ESC q			行の折り返し
C-g			何か困った時には、何度か打つ。
------------------------------------------------------------

■info機能

emacs, mule では、「info」と呼ばれている機能を使うと、さ まざまな説明を読むことができます。「info」を使うには、 C-h i と打ちます。

infoの画面では、「::」の項目に、さらに詳し い情報が埋め込まれています。読みたい項目カーソルを合わせて、m リターン・キー([←])を打つと、その項目が読めます。(カーソルを合わ せないで m 項目名 [←] でもよい。)

以後、同様に m で項目を選んだり、n, p, u で別の項目に移動したりして説 明が読めます。infoの画面でここで使えるキーをまとめておきます。

■参考

詳しい使い方は、次の所にあります。

■練習問題

  1. emacs, mule の自習機能で emacs の使い方を練習しなさい。
  2. ネットワーク・ニュースのフォローアップ(大文字のKey(F))や、電子メー ルによる返事(大文字 Key(R))では、必要最小限の引用をすることが望まれる。 あるいは、場合によっては、引用する順番を変えることが望まれる。これを、 カット・アンド・ペースト機能を使って行いなさい。

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Last updated: 1996/12/20 00:37:20
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>